岐阜調狂俳と俳句の研究

東海ちょりゅう

狂俳

“KYOHAI”

令和5年 狂俳発祥250年

To the next 300 years

和歌「敷島の道」連歌「筑波の道」狂俳「稲葉の道」

連歌(真態)俳諧(行態)狂俳(草態)

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霊山顕彰会機関誌 R3.9 狂俳発祥250年、狂俳をご存知ですか? 林 七曲 

2022.04.23 995

狂俳発祥250年、狂俳をご存知ですか?

狂俳を皆さんご存知でしょうか。狂俳は、和歌、連歌、俳諧と続く日本固有の短詩文芸で、「お題」に対して「十二音(五七あるいは七五)」で構成される世界で最も短い文芸です。今から約250年前に岐阜市で発祥したものです。

岐阜公園内には、狂俳の宗匠であった初代八仙斎亀遊が草庵を構えていたことに因み「狂俳発祥の地」の石碑がありますので、一度訪ねてみてください。

狂俳は、江戸時代中期の俳人、志摩国生まれの三浦樗良(ちょら)が、安永2年(1773)に岐阜に滞在した折に、美江寺の俳人、初代細味庵東坡に冠句の指導をしたことが、その始まりといわれています。

初代細味庵東坡辞世の句碑
岐阜市 美江寺観音

その後、初代は二世細味庵、弟子八仙斎一世ともに俳諧連歌の形態に準じ式法、規則を整え、これを岐阜調として狂俳の普及に努めその名称も浸透しました。

初代八仙斉亀遊辞世の句碑
伊奈波 法圓寺

東海地方を中心に展開され、江戸後期、明治後期~大正期、第二次世界大戦後に特に隆盛しました。揖斐川町坂内には、江戸時代から続く「光風社」があり、山県市伊自良では明治時代、部落すべてに狂俳の社があったほど、県下に隈なく狂俳の社がありました。

光風社 結社紹介
揖斐川町坂内
光風社

狂俳は、平安・鎌倉からの連綿と続く「座の文化」の継承にその命脈があると私は考えています。現在でも「祖師遺訓見返内定座」という規則が守られて選評が行われて会が執り行われています。

「座の文化」とは、平安後期から鎌倉時代に生まれ、その後、日本の代表的な文化として現在まで続く、連歌、能、茶道、香道、華道のいわゆる、主客、亭主(主宰者)と客人が共に創作協働して「一座を建立」する芸術文化のことで、「和の文化」とも言えましょう。

そこに通底するものは、和歌が「敷島の道」、連歌が「筑波の道」と言われる美意識であり、美の基軸ともいえます。

文芸における「座の文化」を真行草の三態とすると、鎌倉時代に生まれた連歌が百韻(句)で真態とし、江戸初期に生まれた俳諧連歌が三十六韻(句、芭蕉が三十六歌仙に因み考案)で行態とし、江戸後期に生まれた狂俳が十二韻(句)で草態として時代を経て派生し、「座の文化」が受け継がれていきます。

岐阜の地は、平安時代の和歌を再構成した藤原定家ゆかりの本巣、連歌を確立した二条良基ゆかりの小島頓宮の揖斐川町、連歌を完成させた宗祇ゆかりの古今伝授の郡上大和、芭蕉ゆかりの大垣や支考ゆかりの岐阜を擁する文芸文化豊穣の土地柄であります。

江戸時代後期に「座の文化」の三態(真・行・草)の草態として狂俳がこの地に誕生したことは、岐阜の自然と文化と先人の営為によるものであり、嬉しく誇りとするところであります。まさに、狂俳は「金華(稲葉)の道」と言えましょう。

そして、狂俳の特質は、文芸として「座の文化」を継承する無形文化の面とともに、地域の民俗的文化風習として「狂俳奉納額」と「奉灯祭・行灯祭」が有形文化の面において現在まで残り、また継続していることにあります。

谷汲華厳寺
狂俳奉納額

現在でも、県下各地の神社仏閣に慶事を祝う江戸・明治・大正時代の「狂俳奉納額」を見ることができ、関市の高沢観音、谷汲の華厳寺、美濃市の州原神社、岐阜市の八幡神社をはじめ各地に立派な狂俳奉納額が残っています。

洲原神社
狂俳奉納額

また、子供から大人まで日頃たしなんだ狂俳の句とそれにまつわる絵を描いて行灯やちょうちんに飾り、神社仏閣の「奉灯祭」や地域の祭り「行灯祭」として、県下各地のいたるところで行われてきました。池田町の白鳥神社奉燈祭、瑞浪市陶町の祇園祭、下呂市の下呂温泉狂俳献灯大会、山県市藤倉の十日祭、岐阜市岐阜公園行灯まつりなど、少なくなってきたものの現在でも各地で行われています。

下呂市
下呂温泉狂俳献灯大会

このように狂俳は、岐阜県下において、文芸でありながら、地域の民族文化や風習となるほど広く県民に親しまれてきたものでした。戦後、岐阜県内の各社からなる「樗流(ちょりゅう)会」を組織し、その後「東海樗流会」と改称し、季刊誌「樗流」誌を発行して、現在に至っております。今も約30社、約300人の会員同好者を数え、各社においては月例会や折々の記念行事を本部活動として実施しています。

ぎふ灯り物語
岐阜公園狂俳行灯祭り

近くは、狂俳発祥250年を記念して種々事業を計画しております。ついては、過去の狂俳関係の資料(文献、冊子、短冊、写真等何でも結構です)も収集調査しておりますので、ご縁の方が所持されたものなどを提供、拝借いたしたく紙面を借りてお願い申し上げる次第であります。

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メール:nhayashi08@gmail.com
林まで

                       


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